PINKFOX 強制収容19

奇妙な光景ではある。
だだっ広い豪華な部屋のベッドにゆっくりと体を沈めた美智子。
横に彼がいる訳ではない。
彼がいるのは目の前の大きなブラウン管の向こう・・・
しかしそれはヤスシも同じでゆっくりと優しい瞳で見つめながらベッドに横たわっていた。
この不自然な情事は新しいセ○クスのあり方では残念ながらない。
けれども人智を超えた究極の純愛、たった一つの純愛の記録になる事は間違いなかった。
時間がない。
この後もう一生会えない事も分かっていたがヤスシと美智子は不思議と焦らなかった。
それはもうエロティシズムとか客観的視野などではなく、心で・・心で2人は1つになったのであろう。
美智子は固まったままだ。
気丈だが本当は絹のようにもろい彼女をヤスシは知っていた。
両手を出し、テレビ越しに彼女に抱きつくしぐさをするヤスシに照れなんかない。
雑でぶっきらぼうで女に対するマナーなんて彼にはなかった。
まるで南国の漁師のように強引な攻め・・・
ただ、ただ・・・

「美智子っ・・・!!」

本気だった。
生まれたての子猫のように震えながらも彼女はヤスシの体をあますところなく受けていた。
全くの受け。顔を耳まで真っ赤にし、耐え、しかしその瞳はウルウルと真剣に彼、ヤスシを見つめていた。
何をされてもいい・・私を・・私をメチャクチャにして下さい・・・そんな表情だった。
彼女は大きな抱き枕をヤスシのように抱いていた。
もしここで誰か入ってきてこの状況を見たら・・・・?・・・・でしかないであろう。
あるいはヴァーチャルで贅沢な1人エッチ?といぶかしげるのであろう。
でもこの時この瞬間この時間はたとえ神様でさえも彼女を笑う行為は許されないのであった。
彼女はドMだ。
星のよに数限りない男たちを相手にしてきた産業スパイPINKFOXのメーク○ブもMであったが女優の
ように仮面を被り多少なりとも造っていた感はある。
気丈で賢い彼女は男に華を持たせようとそうしてきたしよく思われたい一心で気も使ってきた。
゛素゛の自分を隠してきた孤独な女性。
でも、もう、それは・・・なかった。
猫宮ヤスシという最愛の男性に会い、寝、たっぷりの汗を掻いて愛撫されまくっている彼女は身も心も
裸にされ、ついに1つになったのである。
天井に届かんばかりのブラウン管の彼を必死で見つめながらア・・ん・・とあるいは指でで軽くクリ○リスを
つまんだり小ぶりな乳の先端をさするように触れたりする度額から汗がしたたり落ち真っ白なシーツに
こぼれ落ちる。

ヤスシはヤスシで雨粒のように豪快な汗を撒き散らしながら必死で腰を、右手をピス○ンしていた。
ふし目になり、思わず腰をキュ・・と自然に動かしてしまう彼女はハ・・・とヤスシと目が合うと乱雑だが・・
乱雑だがとても優しげな彼の大きな顔があった。
大きな潮が来た。
この1発を大事にとっておいた2人のモチベーションが一気に加速する。
ヤスシは大きな男波。
美智子の小さな小船はついにさらわれ、彼女は裸体で巨大な波の一撃をくらうのだ。

「美智子・・・」

ヤスシの波に熱病患者のようなほてった顔で微笑みながら小さくうなずく美智子。

「ん!!・・・」
ビュッ!!・・・ビクン、ビクン・・・・ク・・
「ぁ・・・・んんっ!!」
ビシャッ!!ピュッッ・・・ピク、ピク、・・・ク

同時だった。
大きな男根から大量の精○を発して大の字で寝転ぶ彼と行為後同じく寝転ぶ美智子。
ハァハァと肩で息をししばし沈黙の後ヤスシは微笑み、美智子もつられて微笑む。
それだけで良かった。
2人とも現状のやばさは分かっている。
言葉を交わさなくとも・・交わさなくとも何をすべきかは・・・しれていた。
夫婦に、夫婦になったのだ。
新しい生命の誕生の可能性をつむいではならない。

「・・・おめでとう。」
エリート女医は彼女とヤスシに最後のエールを送った。
採取した精○を見てももう嫌味はなく、そのレンズの奥の瞳は人の温かさに満ちていた。
気がついたようにハンカチを白衣のポッケから取り出し美智子の両足を開かせ股間を優しく拭いてあげる
女医。
少し恥ずかしかったがその優しさが痛い程伝わってきた。
「ありがとう・・・・」
感謝する美智子。
フ・・と女医は彼女の頬に両手をやりおでこをくっつけてジー・・と見つめやがて立ち上がり別れを言った。
「さよなら」
後ろ姿とコツ、コツ、コツと響くハイヒールの音がやがてその扉の向こうに消えた。
どこへいったのか・・
だが美智子がエリート女医に会う事はもう二度となかった。


                                                           20へ続く